【個人事業の基礎知識】開業届とは?出すメリットを解説

個人事業主向け

こんにちは、2級ファイナンシャルプランニング技能士のオットです。

私は現在、会社員として働きながら、副業としてホームページ制作やブログ運営を行っています。今後、本格的に活動するにあたり、開業届を出す必要があるのか、出す場合と出さない場合でどう変わるのか疑問に思っていました。
そこで、開業届を出すと何が変わるのか、税制面でのメリットを含めて調べてみました。

私と同じように
「開業届って本当に出すべき?」
「副業収入があるけど、開業届を出さないといけないのか分からない」
こんなことを考えている方もいらっしゃると思います。

本記事では、開業届を出すべきか迷っている方や、将来個人事業主として働くことを考えている方に向けて、開業届を出すことで何が変わるのか、どんなメリットがあるのか、FPとしてわかりやすく解説していきます。

開業届とは?出さなくてもいいの?

開業届とは?開業届を出すと何が変わる?

開業届とは、個人で事業を開始したことを税務署へ届け出る書類のことです。
事業を開始したら、原則として1ヶ月以内に提出することが法律で定められています(所得税法第229条)。

ただし、自分の活動を事業とするか否かの明確な基準はなく、いつから事業とするかは個人の判断に任されます。継続的にある程度の収益を得ている場合は、事業に当たると考えてよいでしょう。

では、開業届を出し、事業となると何が変わるのでしょうか?

開業届を出すと、所得の分類が変わります。

  • 開業届を出していない所得(フリーランス・会社員の副業):雑所得
  • 開業届を出した場合の所得:事業所得

この違いは、後述する税金面で大きな差を生みます。


▶︎ 開業届を出すと税務上「事業」として認められることを意味しますが、その明確な基準はありません。

開業届を出さない人も多い

実は、開業届を出さないこと自体に罰則はありません。
そのため、「まだ本業ではない」「事業としてやっていけるか分からない」といった理由で提出しない人もいます。

開業届を出さなくても確定申告は必要!

開業届を出さない=確定申告しなくてもいい、というわけではありません。

開業届を出していない場合、所得は雑所得として申告する必要があります。
※給与所得を受けている人(会社員)で年末調整を行っている人であっても、雑所得が年間20万円を超える人は確定申告が必要。20万円以下の場合は、必要ない。

この申告を怠ると、脱税とみなされ、以下のようなペナルティが発生します。

  • 本来納めるべき税額に加え、延滞税・加算税を支払う必要がある
  • 悪質な場合は重加算税(最大40%)が課せられる
  • 過去数年分の未申告分を遡って徴収される

これらのことから、申告しなくても税務署にバレないのでは?と考えるのは危険です。
特に、事業を拡大して知名度を上げたい方や、地域の方々に長く愛される事業にしたい方。
そのような事業を税務署が認識していないということは、まずありえないと考えていいと思います。
適切に確定申告を行わないと、数年後に多額の追徴課税を支払うリスクがあるため、正確な数字を申告するようにしましょう。

開業届を出すメリット

開業届を出すメリットは以下の通りです。

青色申告が可能になる

開業届を出すと、事業所得として確定申告ができるようになり、青色申告が可能になります。
青色申告とは、複式簿記に基づいて取引を帳簿に記録し、その記録を基に所得税を計算して申告することです。節税効果が非常に高い制度になります。

ちなみに、青色申告以外の申告を白色申告といいます。つまり事業所得で青色申告をしていないと白色となります。

損益通算が可能になる

事業で赤字になった場合、他の総合課税所得(給与所得、不動産所得など)と合算でき、税負担を軽減できます。


▶︎ 開業届を出すことで節税効果が高まり、同じ売上でも手元に残るお金が多くなる

開業届を出す最大のメリットは青色申告

青色申告を行うと、以下のようなメリットが得られます。

最大65万円の所得控除

青色申告を行うと、最大65万円の所得控除が受けられます。
これにより課税所得が減り、納税額が大幅に下がります。
白色申告の場合、10万円のみ

赤字を3年間繰り越せる

事業が赤字になった場合、3年間繰り越しが可能です。
翌年以降に利益が出た際、繰り越した赤字と相殺できるため、納税額を抑えることができます。

減価償却の選択肢が増える

設備投資を行った際、減価償却によって課税所得を減額することができます。これが青色申告者であった場合、取得価格が30万円未満のものについては、取得価格の年間合計額が300万円に達するまでは、取得金額の全額をその年の必要経費として一括で計上することができます。

家族に支払った給与を必要経費にできる

家族を従業員として雇用し、支払った給与を経費として計上できる(青色事業専従者給与制度)。
事業収入が家族の給与として分散されることで、家族全体での税負担を軽減できます。


▶︎ 青色申告を行うことで、納めるべき税金を大幅に減らすことができます。長く事業を続けるための大きな助けとなるでしょう。

開業届を出すデメリットは?

開業届を出すデメリットはほぼないと考えています。

同じ収益を得た場合の税額を確認すると、以下のようになります。

また、損益通算についても、図にすると以下のようになります。

このように、税金面でも損益通算の面でも、開業届を出して事業所得にするデメリットはほぼないと思います。

ただ青色申告を行う場合には、帳簿管理が少々大変になるため、そこをデメリットと感じる人はいるかもしれません。

また事業所得として申告しても、事業収益の規模が小さすぎる、事業に継続性がない場合は、雑所得であると税務署から指摘される場合もあります。その場合、対応が必要になることもデメリットと言えるかもしれません。

開業届を出すべき人・出さなくてもいい人

これまでの内容から、開業届を出す方が節税効果が高まることがわかりました。その上で、開業届を出すべき人、出さなくてもいい人を分けるとしたら、以下のようになります。

開業届を出すべき人

  • 本業として個人事業を始める人
  • 副業が安定して収益を生んでおり、事業として継続する意思がある人
  • 節税メリット(青色申告)を活用したい人

開業届を出さなくてもいい人

  • 収益が一時的なもので、事業として継続する予定がない人
  • 事業というより趣味の延長で、少ない収益のみ得ている人

▶︎活動によって継続した収益を得ているか否かが基準になります。ただし、いずれの場合も確定申告は必要なので注意!

まとめ

  • 開業届を出すと、所得が「事業所得」になる
  • 開業届を出さなくても確定申告は必要!申告しないと脱税リスクが高まる
  • 開業届を出すと税制優遇(青色申告など)が受けられる
  • 事業を継続するなら、開業届を出して適切に節税する方が長期的なメリットが大きい!

開業届を出すことで、所得が事業所得となり節税効果を最大限活用できるようになります。それにより、より多くのお金を手元に残すことができるため、長く事業を継続する手助けになると思います。
この記事を参考に、自分は開業届を出すべきかどうかをしっかり考えてみてください。

ではでは。。。

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